横浜JAZZ協会後援のイベント「和楽器JAZZワークショップ」が11月30日に横浜市神奈川区民文化センター「かなっくホール」音楽ルームで開催されました。

当日は、日ごろ和楽器に親しんでいて、ジャズにも興味があるという人たちが大集合。

なかには群馬や広島から駆けつけた人もいるなど、ジャンルを超えたワークショップへの期待の高さがうかがえる参加状況で、会場は60席のキャパシティをほぼ埋め尽くしていました。

以下は、見学のリポートです。

「和楽器こそジャズにふさわしい!」との持論を証明したワークショップ

開演の30分前から、講師のブルース・ヒューバナー(尺八)、笛吹かな(篠笛)、サミエル(箏、ピアノ)がそれぞれ音を出しながらウォーミングアップを始めている。ヒューバナーは「Gの音ね」といいながら、尺八を持ち替えたりしている。普通の楽器ではあまり見られないリハーサル風景だ。

参加者側も、6孔なのか7孔を持ってきたのかといった、不思議な用語が混じった会話が飛び交っている。

BGMでサミエルが「ソー・ホワット」を流すと、自然と参加者もそれに合わせて演奏を始める。そこでも「笛は××調子で!」といった、バンド演奏ではあまり耳慣れない言葉が飛び交う。

開始時間となり、講師3人による「サマータイム」の模範演奏でワークショップのスタート。

左から、笛吹かな(篠笛)、ブルース・ヒューバナー(尺八)、サミエル(琴)。

講師として壇上に立つサミエル、なんと箏に始めて触ったのが2ヵ月前だったとか。しかし、箏曲を弾くのではなく音楽を演奏するということで、なんら遜色のないサウンドを生み出しているのはさすが。

3人は自然にアドリブもこなし、それが和楽器であることを忘れさせるような演奏で、参加者を魅了する。

演奏が終わると、自己紹介のあとに、本題へと進む。

まずは、「ジャズとはなにか」のレクチャーからだ。

参加者は和楽器畑が主で、五線譜に慣れない人も多かったらしい。なんとなく「ジャズっておもしろそう……」と感じていても、どこから入っていけば良いのかがわからない。だからこのワークショップに参加してみたという。

会場からは、ジャズのイメージとして「心」「おしゃれ」「ノリ」「酔っぱらい」「ごちゃまぜ」「即興」「型があっての型破り」「ソロ 自分だけの表現」といった意見か出されていた。

続いては「ジャズの歴史」だ。

世界地図をホワイトボードに書いて、大雑把なジャズという大河の源流を見える化する。

「ジャズの手前の時代はブルース 労働歌として歌われていた」というところから、ジャズの原型であるブルースの実習へと移っていく。

手拍子で、2拍子、3拍子、3連符4拍子、アフタービートの実習。

そして、ジャズに聞こえるリズムの体得のために重要な「ウラのアクセント」を体験し、スウィングを身近に感じられるまでリズムのイメージを絞り込んでいく。

1セットの最後には、「そろそろ音を出したくなってきたんじゃない?」とブルースを合奏。

琴の調子(=調性)に合わせた「Dジャム・ブルース」(オリジナルは「Cジャム・ブルース)。リズム感の意識から、モード内で自由に音を出して楽しむセッションへと発展させていく。

休憩を挟んで2部は、ジャズならではの音階の学習から。

和楽器の世界には「民謡音階」「都節」「琉球音階」があり、日本らしさはDFGACD(ペンタトニック)にあることを確認。

ジャズ(ブルース)もまた、ミニマムには5音階で表現できることから、和楽器での演奏に適したスタイルであるという解説があると、参加者からも「へぇ〜」という声が上がる。

「ブルース音階」の
DF(F#)GG#ACD

を実演しながら、コード進行の学習へとステップアップ。

12小節を
1 4 1 1
4 4 1 1
5 4 1 1

とコード・チェンジしていく、ジャズの基本であるツー・ファイヴのパターンを身につけてもらう。

つまり、ここまで押さえておけば、自分の楽器が出せる音でジャズ(ブルース)の簡単な旋律部分だけは演奏できるというわけだ。

そして最後は、ジャズをジャズたらしめている「アドリブ」について。

「即興ではなにをやればいいのか」は、アメリカの音楽大学に留学したとしても学び続けなければならない命題ではあるが、講師たちは和楽器というキーワードを上手く利用しながら、自己表現として可能な範囲でのアドリブの答えを参加者各自に持ち帰ってもらうべく、的確な例とともに解説を加えていた。

また、ジャズ演奏に限らずに大切な、アンサンブルを作る方法を探すヒントを参加者に気づかせようとしている工夫もあった。

ラストは「バグス・グルーヴ」を合奏。最初の「ソー・ホワット」とは打って変わって、参加者たちの音がしっかりと“ジャズしている”と感じられるほど、みんなの腕が上がっている。

もちろん、それぞれ和楽器側の世界では研鑽を積んできている人たちなのだから、それなりの音が出るのは当たり前なのだけれど、2時間半ほどの短い時間ながら“ジャズとはなにか”という内面からの理解を経たことにより、「ジャズ風の演奏」ではなく「ジャズならではの音」ができるようになっていたのではないだろうか。

最後に講師から、「またこのワークショップに参加したい人!」という問い掛けがあると、「はいっ!」と多くの声が上がったことが印象的な、濃い内容の“異文化の出逢い”となった。

(text & photo:富澤えいち)


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